読書録(2021年8月)

一ヶ月ほぼ夏休み。旅行ができないため全体的に鬱屈としていて読書もはかどらなかった。

 

-歴史-

『日本史の論点』、『日本の起源』、『大学入学共通テスト日本史Bが一冊でしっかりわかる本』と通史を扱う本を多く読む。

2学期の準備として『戦争の日本中世史』、『贈与の歴史学』、『承久の乱』、『戦国誕生』、『織田信長』など中世史を重点的に学習。今まで一番勉強できていなかった範囲なので、通説に対する批判も多くて理解が深まった。弱弱しい源実朝、強いモンゴル軍、革命児・織田信長などは古い捉え方であるとわかった。

『中世日本の内と外』、『海の王国・琉球』で中世の自由な海域世界に触れることも出来た。このジャンルはさらに深めたい。同時代の世界史として読んだ『モンゴル帝国と長いその後』は、歴史学全体をテーマとしていて予想以上に収穫は大きかった。

久々に読んだ近代史の本は『モダン語の世界へ』で、当時の流行語などが網羅的に載っており、面白い角度で歴史を学ぶことができた。現代と発想が近い言葉の作り方もあって、当時の雑誌や映画などにも手を出したくなった。

 

-社会・教育-

『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき』と『チョンキンマンションのボスは知っている』で、フィールドワークについて知る。こういう類の本は、普段絶対に係ることのない世界を見れて刺激になる。南アジアの少数言語話者と、香港のアフリカ人ブローカーと日本人著者のコミュニケーションを読むことで、旅行ができないモヤモヤを少し解消できた。外国情勢については『インド人の「力」』も読む。

さらに、遠出ができない分、都内をぶらついたので知識をつけるために『東京23区境界の謎』を読み、河川や道路の構造を知った。東京の地理本はガシガシ読んで、プロフェッショナルになりたい。

教育法として『「探求」する学びをつくる』、時事問題として『U相模原に現れた世界の憂鬱な断面』もそれぞれ考える所はあったが、サラっと読んでしまった。

 

-哲学・思想-

『近代の虚妄』は重厚だったが、ヘーゲルニーチェなどの思想史がわかりやすく整理されており、今まで読んできた各思想家に関する知識の整理に繋がった。

そのような思想史を踏まえて、哲学者東浩紀の対談集『新対話篇』を読んだことで現代の思想界の動向をなんとなくつかめた。やはり難解な内容を考えるのが苦手。

個別的な哲学者に関する本としては『哲学者マクルーハン』を読む。メディア論も

勉強したいけど・・・本当に興味が無限に広がってしまう。

 

-文学-

割とたくさん読んだ。今月の古典として『赤と黒』を読む。主人公の野心とエネルギーが凄い。フランス革命後の時代の雰囲気が伝わってきた。

久々に芥川賞作品を読もうと思い、『手鎖心中』と『むらさきスカートの女』、時代の異なる2作品を読んだが、どちらもぶっとんだ登場人物が出てくるコメディタッチの物語で面白く読めた。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は村上春樹何作品目だよという感じだが、以前よりも村上春樹の書いていることがなんとなくわかるようになってきた気がするような、しないような・・・。

演劇については『俳優の演技訓練』で、映画監督たちが語る俳優論を読んだ。

 

-漫画-

『永沢君』、『ゴールデンカムイ』(無料公開で最新話まで)

ゴールデンカムイ』が好みドンピシャすぎた。『MONSTER』、『からくりサーカス』的な大風呂敷と、『魔人探偵脳噛ネウロ』、『チェーンソーマン』的なシリアスとギャグのシームレスな展開。さらに歴史要素まで入ってくるとなったら大好きすぎる。キャラクターブックも買ってしまった。尾形がデザインもキャラクター設定もダントツで魅力的。

 

★映画

『さらば愛しきアウトロー』、『ノマドランド』、『レザボア・ドッグス』、『パッチギ!』、『アナと雪の女王1・2』、『ダイハード』、『プロジェクトA2』(amazon primeで)

ここ数ヶ月映画を観ていなかったので、過去の話題作を中心に観る。しんどい時は何も考えないで良いアクション作品が良い。

 

★テレビ・ラジオ

『100分de名著』【幸福論、ファーブル昆虫記、夜と霧、戦争と平和宮沢賢治、饗宴、善の研究ハムレット】(NHKオンデマンドで)

水曜日のダウンタウン』、『ゴッドタン』、『有吉の壁』、『テレビ千鳥』、『相席食堂』、『千原ジュニアの座王』、『あちこちオードリー』、『お笑い実力刃』、『ソウドリ』、『千鳥のクセがすごいネタグランプリ』、『AUN』、『ネタ祭』、『ラフアンドミュージック』(地上波・Tverで)

『チャンスの時間』、『しくじり学園お笑い研究部』、『雨上がり決死隊解散特番』(Abemaで)

マヂカルラブリーのANN0』(radikoで)

『アンナチュラル』(amazon primeで)

ラーメンズ『椿』、『鯨』、『雀』、『CHERRY BLOSSOM FRONT345』、『ATOM』、『CLASSIC』、『STUDY』、『ALICE』、『TEXT』、『TOWER』(youtubeで)

 

逃げ恥に続き、アンナチュラル視聴。社会問題取り入れつつ話展開させるの上手すぎる。次はMIU404を観ようかな。

ラーメンズyoutubeはこれで全部観終わる。やっぱり言葉遊びとかマイムとか素敵。

雨上がりの解散と、太田松本の共演はなんか時代が変わっていくのを感じた。

読書録(2021年7月)

 月前半は忙しかったが、後半は夏休みに入ったためだいぶ落ち着いて読書や映像鑑賞に時間を回すことができた。来月はもっとじっくりと勉強をしていきたい。

 

-歴史-

なんといっても『ラディカル・オーラル・ヒストリー』に大きな刺激を受けた。アボリジニたちの語る歴史を「嘘」と切り捨ててしまうことは、知の帝国主義、西洋近代による暴力ではないかとする視点。ニヒリズム歴史修正主義に至らないようにしつつも、このような寛容な歴史解釈の姿勢は授業においても重視していきたいと思った。

那覇潤『歴史なき時代に』の、人文学とは本来他者との共感を作る学問であるはずだという意識から、現在の日本社会や歴史学を厳しく批判する姿勢も大きく刺激を受けた。特に後半の四人の同世代研究者との対談は尖った言葉の連続であった。知識人の仕事は盲点の指摘であるはずと作中で触れられていたが、私はまさにたくさんの盲点を指摘された。

 

仕事の方では、今後近代世界史の知識が必要になってくるため、『夢中になる東大世界史』を読んだが、とてもタメになる一冊だった。近代世界史の大きな流れと現代社会が抱える問題が東大世界史の過去問を通して見えてくる。大学入試の論述の考え方としても大変参考になった。近代世界史については『「オピニオン」の政治思想史』

日本史については『アースダイバー』で地形に注目した歴史理解の視点を得た上で、『「京都」の誕生』、『義経の東アジア』、『頼朝の武士団』、『執権』、『戦乱と政変の室町時代』、『喧嘩両成敗の誕生』など平安後期から室町時代に至る中世社会に関する本を多数読んだ。ヤンキー的な武士が暴れまわる中世社会のハチャメチャさが具体的なエピソードとともにわかってきた。

 

-学問・哲学・思想-

教養人になりたいという目標の下、まずは勉強に向かうために『勉強の哲学』を読んだ。さらに『論文の教室』で文章を書く方法を、『大人になるためのリベラルアーツ』でテーマの設定と討論の方法を具体的に学んだ。学ぶ際にも教える際にも重視していきたい姿勢と技術である。

また、先月までの読書でだいぶ理解が進んできた西洋哲学についても『哲学とは何か』でニーチェフッサールを中心に、哲学が対象としてきたテーマについての理解が深まり、その中でも現代の思想状況の基盤を知るために『フランス現代思想史』を読み、その代表的哲学者であるロラン・バルトの書いた日本論の『表徴の帝国』を読んだ。まだまだ言葉遣いが難解でよくわからないところが多々あるが、以前よりは大枠が理解できているのでこういう類の本も読み進めやすくなってきた。

 

-社会-

社会学については、以前他の本も読んだことがある岸政彦の『断片的なものの社会学』と、上間陽子の『海をあげる』を読む。普段かかわることのない様々な人の声が伝わってくるこういうジャンルの本は定期的に読んで、常に自分を相対化していきたい。『地方を生きる』も「地方」という概念を広げることが出来て良かった。

さらに、コロナ禍もなかなか終わらなそうなので、『京大おどろきのウイルス学講義』で獣医師的視点のウイルス学を学んだ上で、『パンデミック下の書店と教室』で人文学にできることを考えた。

平田オリザの『わかりあえないことから』はここ最近の自分の中でテーマになっている「他者との共感」に対して、演劇的なコミュニケーションが果たす役割が述べられており、教育にも活かせるヒントをもらえた。

 

-文学-

小林賢太郎の五輪開会式解任が、演劇とコントに取り組んできた人間としてはかなりショックが大きかった。ホロコーストをお笑いのネタにすることが一発アウトであり、国際的イベントに係る人間としてありえないことは納得するが、小林の名前がこのような形で広まってしまったことはとても悲しい。気持ちの整理をするために、小林が演劇論を書いた『僕がコントや演劇のために考えていること』を読む。彼がプロの表現者としての高いプライドを持ち、ストイックに仕事に取り組む姿勢と、それだからこそ生じてしまう葛藤と繊細さが痛いほど伝わってきた。

演劇についても本格的に学びたくなり『日本演劇思想史講義』を読んだ。中世から現代に至る日本演劇の歴史のあらすじを理解できたので、アングラ演劇や第三世代の代表的な作品をどんどん観ていきたいと思った。

劇作家で批評家である福田恆存を扱った『福田恆存 思想の〈かたち〉』も、なかなか難しかったが、芥川と太宰などの批評を通した近代理解などは面白かった。自分の専門である近代思想と演劇を接近させていく取り組みを今後進めていきたい。

小説は『ベルリンは晴れているか』を読む。占領下ドイツという今まで見たことない舞台設定を有効に使ったドラマであった。

 

-漫画-

ここ数ヶ月、漫画の記載を忘れていた。『銀と金』、『鬼滅の刃』、『それでも町は廻っている』を既に読んでいる。完結済みの名作漫画はしっかりと読んでいきたい。

今月は『べしゃり暮らし』を読んだ。漫才好きとしてはとてもアツくなれる青春漫画だった。お笑い界の汚い部分もたくさん描いているところが好印象。

 

★テレビ・ラジオ

『100分de名著』【かもめ、全体主義の起源正法眼蔵フランケンシュタイン、日本の面影】、『NHKスペシャル』【香港・激動の記録、欲望の資本主義2018】(NHKオンデマンドで)

水曜日のダウンタウン』、『ゴッドタン』、『有吉の壁』、『テレビ千鳥』、『相席食堂』、『千原ジュニアの座王』、『あちこちオードリー』、『お笑い実力刃』、『ソウドリ』、『千鳥のクセがすごいネタグランプリ』、『ザ・ベストワン』(地上波・Tverで)

『チャンスの時間』、『しくじり学園お笑い研究部』、『ABCお笑いグランプリ』、『笑ラウドネスGP』(Abemaで)

マヂカルラブリーのANN0』(radikoで)

逃げるは恥だが役に立つ』、『ABCお笑いグランプリ』2018~20 、『マヂカルラブリー単独ライブ』2019(amazon primeで)

キングオブコント』2回戦7/23(FANYで)

ラーメンズ『home』、『FLAT』、『news』(youtubeで)

 

今月も映画を観なかった代わりに、主演の結婚で話題になった逃げ恥を今更観る。コメディタッチながら現代社会の諸問題を扱っていて面白かった。

小林賢太郎の件からラーメンズ公式のyoutubeにあがっている単独も観る。バナナマンシティボーイズ竹中直人、イッセー緒方などの演劇とお笑いの境界にいる人々の作品はもう少し観ていきたい。

ABCお笑いグランプリのレベルが高すぎて、今年のM-1への期待が高まりまくっている。笑ラウドネスGPも充実した賞レースだった。さらに今年からKOCの予選配信が始まったため、半年間ひたすらお笑い賞レースの予選を追うことが運命づけられてしまった。

読書録(2021年6月)

日曜が仕事でつぶれることが多く、あたふたしていた。

ただ、隙間時間で読書や動画鑑賞をするコツがだいぶ身に付いてきた気がする。 

 

-歴史-

 『現代思想 網野善彦』で、改めて網野善彦の研究範囲の広さを確認し、これから中世史を本格的に学ぶ心構えを得られた。更に、歴史学民俗学の関係性という点で『東西/南北考』も読む。夏の間に必ず民俗学をしっかり学びたい。

奈良時代の『平城京に暮らす』、平安時代の『院政』を読んだ上で、意欲的な中世史解釈を提示した『自由にしてケシカラン人々の世紀』を読む。専門外である古代中世についても全体像をだいぶ捉えられてきた。授業と読書を繰り返す中で、歴史像が明らかになってくるのはとても良い。

『京都ぎらい』、『東京モダン建築さんぽ』と都市の歴史も興味深く読んだ。三都については地理・歴史双方を熟知しておきたい。

 

-思想・哲学-

先月読んだニーチェが理解しきれなかったので、『ニーチェ入門』で復習。ルサンチマン永劫回帰力への意志などの基本用語を抑えることが出来た。ここからヘーゲルマルクスに再挑戦していきたい。

『いまを生きるための思想キーワード』は現代思想を理解する上でのヒントが多数得られた。戦後日本を扱った『昭和平成精神史』でも言及されていた、「同情」と「共感」の違い、「責任」の定義などは深掘りしていきたいテーマになった。

自己と他者という論については『弱いロボットの思想』も良いヒントになりそう。インターネットやAIなどの技術が発達し、コロナにより対面の機会が減少する中で、他者とは何かもう一度考えてみる必要がある。平野啓一郎の『ある男』も現代社会における自己をテーマにした小説として面白く読んだ。

 

-その他- 

今まで読むことのなかったジャンルである、企業の不祥事を扱った『東芝解体』と『かんぽ崩壊』は頭が痛くなった。更に『結婚不要社会』を読んだことで、今後の日本は一体どうなるのだろうとより不安になった。一方、『現代中国ゼミナール』

今月の古典は『方丈記』を読む。平安後期の無常観。

 

★テレビ・ラジオ

『100分de名著』【純粋理性批判河合隼雄、エミール、永遠平和のために、源氏物語方丈記徒然草】、『英雄たちの選択』【藤原氏】、『Black Samurai』(NHKオンデマンドで)

水曜日のダウンタウン』、『ゴッドタン』、『有吉の壁』、『テレビ千鳥』、『マヂカルクリエイターズ』、『相席食堂』、『千原ジュニアの座王』、『これ余談なんですけど・・・』、『あちこちオードリー』、『爆笑ターンテーブル』、『お笑い実力刃』、『ソウドリ』、『千鳥のクセがすごいネタグランプリ』、『キングオブコントの会』、『まっちゃんねる』(地上波・Tverで)

『チャンスの時間』、『しくじり学園お笑い研究部』(Abemaで)

マヂカルラブリーのANN0』(radikoで)

『オッドタクシー』 (amazon primeで)

 

今月は映画を観なかった代わりに、アニメの『オッドタクシー』を一気観。お笑い芸人とラッパーという好きなもの詰め合わせの上に、構成もセリフ回しも最高だった。

読書録(2021年5月)

ゴールデンウィークがあり仕事も円滑に進んでいたため、本も映画も大量摂取できた。さらに、仕事内容と読書がリンクして知識が深まっていく感覚もあったので有意義な一か月であった。

 

-歴史-

仕事で日本古代史を扱うため、『はじめての日本古代史』、『律令国家と隋唐文明』、『海の向こうから見た倭国』、『渡来系移住民』などを読む。どれも海外との関係性に重点が置かれていたため、広い視点を獲得することができた。

また、今後中世史を扱うにあたって『暴力と武力の日本中世史』、『唐物の文化史』を読む。さらに、ユーラシア大陸全体を捉えるために『シルクロード世界史』、『モンゴルVS西欧VSイスラム』を読んだ。遊牧民や商人について知ることで、だいぶ世界史を立体的に認識できるようになってきた。

歴史教育については『歴史教育「再」入門』で他教科との関係、アクティブラーニング、ICTなどの多数の実践例を知ることができたので、少しずつ活用していきたい。

また、日本史を学ぶ基礎でありながらよくわかっていなかった「なまえ」について『氏名の誕生』で整理をすることができた。

 

-哲学- 

先月リレーエッセイを読んで気になった人類学者による『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民』で森の民プナンの生活に刺激を受け、そこで出てきたニーチェの哲学を知るために今月の古典は『道徳の系譜学』を読んだ。正直、ワードを追うだけで終わってしまい、理解が追い付かなかった。見田宗介の『超高層のバベル』も様々な知識人との対談で構成されており、なるほどと思う部分もありながら難しかった。哲学について考える頭が欲しい。

そういった頭を鍛えるために『東大現代文で思考力を鍛える』、『「わかる」とはどういうことか』、『「読む」ってどんなこと?』、『小説の読み方』など今まであまり読んでこなかった、そもそもの思考の基礎体力をつけるための本を多く読んだ。 さらに、初学者向けの哲学本である『中学生からの哲学「超」入門』も読む。やはり自分が個別具体的な議論に比べて、抽象的な概念の理解が苦手であることを認識したので、論理学、文章力などに関する本も読んでいきたい。

 

-その他-

なんといっても『ポストコロナのSF』が面白かった。最近SFを読む機会がめっきり減っていたが、SF小説の想像力は現代社会について考えるのに最適であると実感した。コロナ禍における社会の状況は極めてSF的であり、この作品群から未来の選択肢を得ることが出来るかもしれない。コロナ関係では世界の思想家たちが今回のパンデミックに明らかになった諸問題について述べる『新しい世界』や、未来の人類研究センターの面々が他者との関係について述べる『「利他」とは何か』、コロナ以後の東アジア太平洋地域の動向を扱う『米中新冷戦とアフターコロナ』なども読んだ。

また、現代社会については『日本の中国人社会』、 『ルポ教育困難校』、『文部科学省』と教育に重点を置いた本も読んだが、現状を知るほど辛い気持ちになってしまう。

 

★映画

蒲田行進曲』、『日本の夜と霧』、『上海バンスキング』、『大学は出たけれど』、『ファンタスティックビースト』、『湯を沸かすほどの熱い愛』、『ブレードランナー2049』、『pk』、『82年生まれキム・ジヨン』、『テルアビブオンファイア』、『ルパンVS複製人間』、『プーと大人になった僕』、『TENET』、『三島由紀夫VS東大全共闘』(U-nextで)

 『今夜、ロマンス劇場で』、『バッドジーニアス』、『いつだってやめられる1~3』(amazon primeで)

今までアメリカ映画偏重だったが、邦画や他の外国映画も多数観た。特に蒲田行進曲が刺さった。どのシーンも派手で印象に残るし、キャラクターの造詣も素晴らしい。pk、キムジヨン、三島由紀夫など現代社会について考えるキッカケになった映画も多く観た。

 

★テレビ・ラジオ

『100分de名著』【オイディプス王、ペスト、風姿花伝老子、人生論ノート、実存主義とは何か、野生の思考、ツァラトゥストラ、獄中からの手紙、平家物語】、『英雄たちの選択』【古代人のこころを発掘せよ】、『歴史秘話ヒストリア』【日本書紀】、『プロフェッショナル』【笑いの鬼】、『生命大躍進』第1~3集、『盗まれた長安』(NHKオンデマンドで)

やはり100分de名著は面白い。伊集院光の相槌、たとえ話、質問、すべてが当意即妙すぎて憧れる。実存主義構造主義の代表的作品について学び、現代哲学についてほんの少しだけ理解が深まった。サルトルの人間観は共感できる部分も多く、もう少し学んでいきたいと思った。

 

水曜日のダウンタウン』、『ゴッドタン』、『有吉の壁』、『テレビ千鳥』、『マヂカルクリエイターズ』、『相席食堂』、『千原ジュニアの座王』、『これ余談なんですけど・・・』、『あちこちオードリー』、『爆笑ターンテーブル』、『お笑い実力刃』、『ソウドリ』、『ENGEIグランドスラム(マチネ・本編)』、『千鳥のクセがすごいネタグランプリ』、『そのネタ、ネタにしていいですか?』、『笑野行動』、『漫才JAPAN』(地上波・Tverで)

『チャンスの時間』、『しくじり学園お笑い研究部』(Abemaで)

マヂカルラブリーのANN0』(radikoで)

ネタ番組が増えすぎて追いきれない。ランジャタイ、5GAP、もう中学生がテレビに出まくるという百鬼夜行的状況になっている。

読書録(2021年4月)

新年度のドタバタもあり、読書に集中できる時間が少なかった。

退勤が遅くなった日は酒を飲みながらテレビの録画を観て終わりになることが多かったので反省したい。

やらないといけないこととやりたいことのバランスを考えて、無駄な時間を減らしていくことを意識する。

 

-歴史・教育-

授業をもう一度基礎から考え直そうと『一斉授業10の原理・100の原則』を読み、本以外にもインターネットなどで教育関連の知識・技術を多数吸収した。

歴史については原始・古代の世界史を扱う関係で『ビッグヒストリー入門』、『集中講義ギリシャ・ローマ』、『仏教入門』を読んだ。細かい点にばかり注目せず、大枠で歴史を捉える必要を感じた。オリエントなどの古代文明についてはもう少し詳しく学びたい。

日本史については『歴史を考えるヒント』で網野史観を復習。商人、狩猟・漁労民、芸人、遊女、被差別民など教科書では触れられることの少ない対象に目を向けるきっかけになった。

弥生時代の歴史』、『古代国家はいつ成立したか』、『考古学はどんな学問か』、『つくられた卑弥呼』など今まで本格的に学んだことのなかった原始・古代を改めて学習した。史料が限られている時代であるが、遺物や史書を細かく分析することで社会の実情が活き活きと判明することに感動を覚えた。あわせて『古事記』の現代語訳を読むことで、古代日本を多面的に捉えることが出来た。近代以降の歴史観からできるだけ自由になるためにも、一次史料をあたる機会は確保していきたい。

また、歴史学のみでなく接近領域である民俗学と考古学も深く学んでいき、歴史理解の助けとしたい。

 

-その他-

まずは発売を心待ちにしていた『野田の日記』を読んだ。M-1チャンピオンの若き日々を読むことで刺激を受け、やる気が出た。

『アイデア大全』は流し読みしたが、いくつかは実践できた。今後も考えが詰まった時に開いてみようと思う。

そして今月のベストワンは『ひび割れた日常』。三人のリレーエッセイという形がとても活きていて、一人の考えが他の二人に波及して考えが深まり・・・ということを一冊の本の中で繰り返していくため、まるで三人と会話しているかのように世界が広がった。コロナという先の見えない状況だからこそ、自分と異なる存在に対して視野を広げていくことを心がけたいと感じた。

コロナ以前の社会に対しては『パラレルな知性』が様々な分析をしてくれていた。『ひび割れた日常』とは肯定的な(というか否定的ではないと言った方が良い?)「どうしようもない」というワードが共通して出てきて、なんかよくわからないが気に入った。

 

★映画

『運び屋』、『ブラックパンサー』、『パリ、テキサス』、『リメンバー・ミー』、『太陽を盗んだ男』、『機動警察パトレイバー1』、『機動警察パトレイバー2』、『攻殻機動隊』、『アメリカン・アニマルズ』、『12人の優しい日本人』、『search』、『博士と彼女のセオリー』、『マイ・ブックショップ』、『ズートピア』、『ベイビー・ドライバー』(U-nextで)

アニメが多め。特に押井守作品を3作観た。ストーリーは難解だが、都市とロボットが織りなす画面構成は最高。何度か観なおしたい。

 

★テレビ・ラジオで

水曜日のダウンタウン』、『ゴッドタン』、『有吉の壁』、『シンパイ賞』、『テレビ千鳥』、『マヂカルクリエイターズ』、『爆笑ターンテーブル』、『お笑い実力刃』、『PIKOOOON』(地上波で)

『相席食堂』、『千原ジュニアの座王』、『これ余談なんですけど・・・』、『あちこちオードリー』、『ダウンタウンDX』、『酒のツマミになる話』、『もしも師』、『上田に火をつけろ!』、『かまいガチ』(Tverで)

『チャンスの時間』、『しくじり学園お笑い研究部』(Abemaで)

『100分de名著』【古事記、モモ】、『日本一長く服役した男』、『アジア巨大遺跡』【始皇帝陵、縄文】、『緊急対談パンデミックが変える世界』、『ヒューマニエンス』【ガン】、『歴史秘話ヒストリア』【謎の古代遺物】(NHKオンデマンドで)

マヂカルラブリーのANN0』(radikoで)

 マヂラブが冠番組とラジオを始めた。ネタ番組も増えた。そろそろ観る番組を整理していかないと処理できなくなってしまう気がする。

読書録(2021年3月)

年度が終わった。

ダラダラと過ごしてしまう時間が多く、あまり読書には集中できなかったが、運動や食事など生活習慣の改善には効果が出た。2021年度は頭脳と肉体の両立に力を入れていきたい。

 

-歴史・教育-

授業のない期間なので、具体的な歴史についての読書は『縄文時代の歴史』のみ。近現代史の本を読まない月はかなり久しぶりかもしれない。

一方、歴史教育に携わる人間として、「歴史とは何か」「なぜ歴史を学ぶのか」という根源的な問いにもう一度立ち返って読書に取り組んだ。

『ヒューマニティー歴史学』、『歴史学の思考法』、『世界史をいかに語るか』と歴史学者たちによる現代歴史学に関する本を立て続けに読む。言語論的転回以後、どのように歴史を語るかという問題意識が極めて重要である。グローバル・ヒストリー、ビッグ・ヒストリーなどの巨視的な歴史観を得ることができた。歴史に対してのマインドはだいぶ改めることができたと思う。

これらの本で触れられていた『なぜ歴史を学ぶのか』と『新しい世界史へ』も読む。西洋、白人、男性、近代などからの一方的な歴史の見方を乗り越えていく必要性は理解できたが、それをどのように授業という形にしていくかは難しい問題である。

そして、グローバル・ヒストリー以前に世界史の理解が足りないため、一般向け書物である『ヨコで読む世界史』で大まかな世界史の流れを、時代ごとに捉えることができた。それぞれの地域で同時代的に何が起きていたのかを意識していきたい。

『アクティブラーニング実践集・日本史』で歴史授業の方法、『教育動向2021』で教育時事にも触れることができた。理論と実践のバランスをとった学習が必要である。

 

-その他-

ジャンルに捉われない読書をしたが、「現代」を語っているものが多い。特定の分野に偏らない知性による本を読むことは思考する上での刺激になる。トッド『エマニュエル・トッドの思考法』、内田樹『コモンの再生』、柄谷行人憲法の無意識』など、物事の見方や考え方の参考になった。

『そろそろ左派は経済を語ろう』と『東京裏返し』など、先月に引き続き社会学者の本も読む。日々の経済活動や街歩きにも学問的な視点を取り入れていきたい。

小説については『蜜蜂と遠雷』のみ読んだが、直木賞本屋大賞のダブル受賞作とだけあって物凄く面白かった。音楽を文章化するという類まれなる力に圧倒された。

 

★映画

『メッセージ』、『バトル・ロワイアル』、『アメリカン・サイコ』、『リリーのすべて』、『ペーパー・ムーン』、『狼たちの午後』、『アイズワイドシャット』(U-nextで)

SFを通して言語の可能性を描いた『メッセージ』と90年代の社会病理を描いた『アメリカン・サイコ』が特に面白かった。邦画の割合を増やそうと思いつつ、結局洋画をたくさん観てしまう。

 

★テレビ・ラジオ

R-1グランプリ2021』、『ザ・ベストワン』、『水曜日のダウンタウン』、『ゴッドタン』、『あちこちオードリー』、『有吉の壁』、『シンパイ賞』、『テレビ千鳥』、『笑いの創造神たち』、『マヂカルクリエイターズ』(地上波で)

『ytv漫才新人大賞2021』、『相席食堂』、『千原ジュニアの座王』、『これ余談なんですけど・・・』、『ダウンタウンDX』、『ダウンタウンなう』、『天竺鼠川原の60分』『567↑8』(TVerで)

『ドキュメンタル9』(amazon primeで)

R-1ぐらんぷり』(U-nextで)

『チャンスの時間』、『しくじり学園お笑い研究部』(Abemaで)

 『人類誕生』、『マネーワールド』、『天皇 運命の物語』(NHKオンデマンドで) 

ザブングル松尾の引退、ランジャタイの躍進。

本格的に観たい番組が増えすぎてきて、お笑い好きとしてはありがたいが時間が足りなすぎる。アイロンや料理など家事をしながら観るなど工夫が必要。

読書録(2021年2月)

年度が終わろうとしている。

仕事のほうでは、自分の授業の出来に納得が行かずに悩むことが多かった。限られた時間でいかに楽しく、深く、正確に学ばせるか。葛藤は多い。まだまだ新人なので、来年度はさらに勉強をして力をつけていきたい。

今年度はコロナもあって家に籠って一人で読書や映像鑑賞ばかりしていたので、来年度はインターネットも利用して研修会への参加など、外へと世界を広げていくべきか。

とりあえず、今月は28日間で28冊読むことに成功。 来月は仕事が少ないので、仕事のための読書だけではなくて幅広く読んでいくことにする。

 

-読書-

先月に引き続き、読書に関する読書を行なう。

『ベストセラー全史』で戦後に「売れた」本を羅列的に知り、『いつもそばには本があった』では80~00年代に学術的に影響力を持った様々な本を知った。大衆的な本と学術的な本、どちらもバランスよく読んでいきたい。

一番読書欲を刺激したのは『在野研究ビギナーズ』。大学などの研究機関に属さずに研究を続ける人々のエピソードが満載。歴史学は独学がしやすい学問であると思うので、ガスガス意欲的に読書しよう。

 

-教育-

自身が学ぶだけでなく、人を教えるということも知っていく必要があると思うので、教育関連の本も読む。

『教育は何を評価してきたのか』と『国語教育の危機』、どちらも現代の教育に対する批判的な視点で参考になった。「能力」とは何か、「論理」とは何か、それらしい空語に惑わされずに教育改革の本質を理解する必要がある。

大学時代に一度学んだ教育史や法規、最近の教育情勢、授業法などについても本やインターネットを通して知っていく。

  

 -思想・哲学-

現代社会の動向を知るために学ぶ。こういった本は頭が疲労するが、新しく思考を広げる良い機会になる。硬質な文章もガツガツ読んでいけるだけの基礎力はついた実感はある。

まず、新書大賞を受賞して話題になった『人新世の資本論』は素直に面白かった。それほど尖ったマルクス理解ではないが、現代社会への提言とあわせて書かれているのでグイグイ読ませる力がある。環境分野は現代において絶対に無視できないテーマとなっている。

政治面でいえば『アフターリベラル』が良質なリベラル論であった。いまだに右翼/左翼、保守/リベラルの二元論で政治を語っている人がいるが、本書にみられるように「リベラル」の定義は多様であり、ケインズ主義、新自由主義個人主義など、それぞれの考え方とその背景にある歴史を学んでいけば、現代社会の見え方はだいぶ変わってくるだろう。

そして、現代社会を理解するためにはなんといってもコロナを無視できないので『コロナ時代の哲学』を読む。アレントスピノザベンヤミンアガンベンなど哲学者たちの智は現代の分析にも有効。ベンヤミンが気になって『フランクフルト学派』も読んだ。フロム、ハーバーマスあたりも読みたくなった。

 

-社会学-

今月かなり集中して読んだ分野。そのキッカケとなったのが社会学者たちによる対談集である『社会学はどこから来てどこへ行くのか』。中心となっている岸政彦氏の研究姿勢を書いた『マンゴーと手榴弾』もすぐに読んだ。社会学の基軸には「他者理解」があり、これは歴史を学ぶ際や、教育に携わる際も極めて重要な姿勢であると思う。「理解できない」は思考停止であり、他者の中に合理性を見つけていくことを諦めてはいけない。

さらに大澤真幸の『社会学史』を再読。一年前に読んだ時よりも新たな発見が多くあった。ウェーバーフーコーあたりは読まねば。大澤真幸から関連して、『戦後思想の到達点』で前々から気になっていた柄谷行人見田宗介の学問の大枠を本人たちの口から学び、見田宗介の『まなざしの地獄』も読む。戦後の知識人たちの本はもはや古典となってきているので、じわじわと読んでいきたい。 

 

-歴史-

歴史については、来年度に中学校の歴史を担当するのでその準備。細かい歴史研究の本ばかり読んでいたので、大きな視点で歴史をとらえるような本を意識して読む。

『移動・交易・疫病』はやや期待外れだったが、「移動」に関する歴史事項の整理にはなった。ここからもう少し発展的に読書を進めていき、グローバル・ヒストリー的な視点を獲得したい。

片山杜秀の『「超」世界史・日本史』、本郷和人の『考える日本史』はどちらも有名な著者による歴史本であるが、中国の南北、日本の東西など時代を越えた大きな視点による歴史解釈が多くあり、少し視野を広げられた気がする。自分でも教科書を読むときなどに関連付けを意識していくようにする。

一方で今年度の近現代史の授業を完結させるために、『ポスト戦後社会』、『平成史講義』(再読)、『政治改革再考』を読む。平成は先送りの時代。各年代の文化、社会、政治、経済についての見取り図はかなり詳細なところまで頭に浮かべられるようになった。サブカルチャー的な要素も重視していきたいところ。

 

-文学- 

コーランを知っていますか』、『春琴抄』、『神様』、『乱歩と正史』。

それぞれエッセイ、古典、現代小説、文学研究。谷崎の文章はやはり良い。三島・太宰と並んで好きな文学者。

 

-周縁-

先月に引き続き、今一番気になるトピック。

ユダヤや沖縄、福島など総合的に国民国家の諸問題を扱った『国ってなんだろう?』は子供向けとしてよくまとまっていた。

寺山修司』、『「フクシマ」論』、『まなざしの地獄』で東北に、『国道3号線』で九州に触れる。どちらも植民地喪失後の日本における国内植民地として描かれているのが印象的だった。出稼ぎ、原発、寒さ、炭鉱、水俣病アジア主義・・・。近代化の矛盾を押し付けられる一方で、東京によって代表される近代を相対化するエネルギーを持っている東北と九州の魅力。宮沢賢治石原莞爾太宰治西郷隆盛頭山満宮崎滔天など注目すべき人物も多数。今年いっぱいかけて、北海道・沖縄も含めてより広く「アジアの中の日本」、「周縁から見た日本」というテーマを追究していきたい。

京大の山極寿一氏による『人生で大事なことはみんなゴリラから教わった』も、人間社会の外である一方で、最も人間に近いゴリラ社会という、ある意味周縁からの視点だった。歴史を捉える際に類人猿という視点も重視したい。文系・理系の枠に捉われない読書が必要。

 

 

★映画

 『グムエル』、『キューポラのある街』、『ゴーン・ガール』、『リトルダンサー』(amazon primeで)

先月に比べるとだいぶ少ないが、不気味な結婚生活を描いた『ゴーン・ガール』と炭鉱町のバレエ少年を描いた『リトルダンサー』がかなりのアタリ。全く違うタイプの二作だが、どちらも画になるシーンが多数で観なおしたいと思った。

 

 

★テレビ・ラジオ

水曜日のダウンタウン』、『ゴッドタン』、『あちこちオードリー』、『有吉の壁』、『シンパイ賞』、『テレビ千鳥』(地上波で)

『相席食堂』、『千原ジュニアの座王』、『これ余談なんですけど・・・』、『ダウンタウンDX』、『ダウンタウンなう』(TVerで)

『チャンスの時間』、『しくじり学園お笑い研究部』(Abemaで)

『100分de名著』【カラマーゾフの兄弟資本論ディスタンクシオン堕落論、こころ、司馬遼太郎、エチカ】、『英雄たちの選択』【伊能忠敬織田信忠】、『アナザーストーリーズ』【普天間基地問題、豊田商事事件、唐十郎】、『NHKスペシャル』【金正恩の野望】 (NHKオンデマンドで) 

 

斎藤幸平、岸政彦、國分功一朗と読んだ本の著者が出演している『100分de名著』を観たことで、相乗効果が生じ資本論社会学スピノザに関する理解が深まった。この番組は伊集院光の能力の高さが毎回輝く。毎月コンスタントに観て、幅広く教養を身に着けていきたい。

読書録(2021年1月)

読んだら読みっぱなしの日々を過ごしてきた。

しかし、それだと知識が定着しない。

いわゆる教養人と呼ばれるような人の本を読んでいると、次々に様々なジャンルの知識が繋がっていく様に圧巻される。

自分もそのようになりたいが、そのためにはまず読書を通して得た知識をリンクさせていく練習が必要だろうと思い、今月から読書録をつけ始める。

 

私の読書傾向としては、就職して以降は基本的に月15~25冊といった頻度で、教職という仕事の性質上、半分は授業準備のための読書となる。

現在は世界地理と日本近代史の授業を担当しているため、今年度はアジアやアフリカなどの地誌や国際情勢に関する本と、幕末~平成の歴史に関する本が多かった。来年度はおそらく前近代史を改めて学習することになると思う。

それ以外についてはなるべく知識の範囲を広げていきたいので、哲学、政治、経済、自然科学などの本を読んでいる。最近は特に社会問題などの本を意識的に読むようにしている。

まあ、授業のために読む本が趣味でもあり、趣味のために読む本が授業にも役立つのでその間に明確な境界線は引けないのだが・・・。

大学時代は小説も大量に読んでいたが、最近は月に一冊読む程度である。来年度は少し小説や漫画の量も増やしていきたいと思っている。

 

-読書-

読書の質・量どちらも向上していきたいと思っているので、普段あまり読まない読書術的な本を複数読んだ。

『サイエンス・ブック・トラベル』で理系本の知識をつけ、『〈問い〉の読書術』では実例とともに読書から「問い」を見つける術を学び、『僕らが毎日やっている最強の読み方』では幅広い知識を持つ二人がどのように情報・知識を得ているかを学んだ。

佐藤優のように月300冊は無理にしても、熟読する本(古典・哲学など)と速読する本(未開拓分野など)を分けて読書冊数を増やしていきたい。

 

-戦後-

授業準備のため、戦後史について多く学んだ。『日本占領史』から読み始め、『日米地位協定』、『自衛隊憲法』、『日本にとって沖縄とは何か』、『沖縄米軍基地全史』など、戦後日本の安全保障体制を特に中心的に学んだ。憲法9条、日米安保自衛隊、沖縄という要素がそれぞれ矛盾した面を持ちつつ共存しているのが戦後日本の特徴である。

一方の同盟相手であるアメリカについては、『地図で読むアメリカ』を読んでアメリカ国内の差異を学んだ。トランプからバイデンに交代した今、トランプ時代の総括的な本にも取り組んでいきたい。

また、『戦後「社会科学」の思想』では戦後民主主義大衆社会論、新左翼新保守主義/新自由主義などの国内外の思想の概説を、『文化復興1945年』では戦後すぐの芸能界の様子を、『60年代のリアル』ではデモや学生運動に参加した人々の分析を学んだ。新刊ばかりでなく、当時の本や映画や漫画などを鑑賞することが昭和史理解に繋がると思う。コロナ後の世界を考える上でも、当時の人々の生の声は役に立つだろう。

 

歴史関係の本の中でも、特に片山杜秀×佐藤優『平成史』は面白かった。細川内閣・暴対法・パチンコ規制を「反腐敗」でまとめたり、震災後の社会やLINEの普及を「刹那性」でまとめたりと、政治や文化など一見関係なさそうな事象が繋がっていく様が気持ちよかった。歴史を学んでいて一番面白いのはこういった繋がりに気づく瞬間であり、その繋がる事象同士が遠ければ遠いほど面白い。

そして、『平成史』を読んでいて特に気になったのが野中広務という政治家である。小泉政権が成立した際、野中政権になる可能性もあったという。魚住昭野中広務 差別と権力』では、地方政治家から50代後半で国政に進出して55年体制崩壊後の政界で辣腕をふるった野中を徹底的に取材している。

さらに戦後政治史については『自民党』、『田中角栄』、『対立軸の昭和史』、『公明党』を読んだことで、自民党社会党公明党のそれぞれがどのように変質していったかを捉えることが出来た。小泉から安倍に至る過程で田中角栄に代表される政治から変質して党員の同質化が進んだ自民党教条主義へのこだわりや自民党との連立などにより消滅に至った社会党、革新野党から連立与党へと立ち位置を変えた公明党。吉田以降の保守本流の役割を、自民党内の岸田派や、公明党、更には立憲民主党などの野党が果たしていくのかが今後の注目点である。

 

-原子力-

3.11から10年になろうとしているので、今までほぼ読んだことのない分野であるが挑戦した。國分功一郎原子力時代における哲学』が特に面白かった。原発反対の立場でありながら、原発を求める人々の精神を分析している一冊である。ハイデガーの読解が中心で難解そうだが、ストンと心に入ってくる文章。筆者の別作品も読んでみたくなった。

一方、日本のローカルな原子力問題としては原発建設を白紙化した窪川村に取材した『むらと原発』を読んだ。こちらも原発についてのみならず、日本の地域共同体についての論考としても面白かった。

原発問題は、グローバルな視点とローカルな視点、技術的な側面と倫理的な側面など、様々な視点を持つべき問題であると思うので、原子力に関する科学的記述や福島第一についての具体的記述も含めて、もう少し広く学習する必要のあるテーマである。3.11に向けて今月も読み進めていく。

 

-周縁-

先述した沖縄、部落(野中広務)、むら(原発)など、「周縁」的なものを扱う本を多く読んだ一か月であった。『「民都」大阪対「帝都」東京』がまさに「中心(近代国家)」と「周縁」の対立を扱っていて刺激的な一冊であった。『野中広務』の中で指摘されていたが、従来の学歴エリート的政治家とは異なる田中角栄も周縁的な人物である。こういった「周縁」からの視点は歴史を多面的に理解する際に必須のものである。

そして、そこには意識的にせよ無意識的にせよ差別がある。『「ユダヤ」の世界史』や『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください』など、民族差別、性差別についても入り口程度の知識はつけることが出来た。まずは差別に気づくことが重要であると思うが、差別者に対抗できるだけの知識と論理は身に着けたい。黒人、LGBT、障害者など、知るべき対象は多い。

古典として読んだ柳田國男の『遠野物語』も、近代化の中での「周縁(山村の伝承)」をテーマにした研究として重要である。民俗学については昔から勉強したいと思いつつ出来ていないが、歴史学の知識がついた今こそ吸収しておきたい。現在の歴史観の相対化が可能であると思う。柳田について書いた『これを語りて日本人を戦慄せしめよ』で、柳田の具体的な論考や、弟子の折口についても述べられていたので、まずは代表作から読んでいくことにする。網野史学にも久々に挑戦したい。

 

 

その他、読書以外では鑑賞した漫画と映像も以下に載せておく。

★漫画

チェンソーマン』、『ファイアパンチ

久々に大ハマりした漫画家。映画愛が伝わる演出が魅力的。最終巻の発売が楽しみ。

 

★映画

 『人生、ここにあり!』、『スターリンの葬送狂騒曲』、『オールド・ボーイ』、『半世界』、『バーフバリ 伝説誕生』、『バーフバリ 王の帰還』、『1917 命をかけた伝令』、『1987、ある闘いの真実』、『ウインド・リバー』、『さよなら、人類』、『世界の中心で、愛をさけぶ』、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』、『ブラックホーク・ダウン』、『ターミネーター2』(amazon primeで)

今までの視聴映画がアメリカ映画に偏っていたので、イタリア、韓国、インド、スウェーデンなどの映画も観てみた一方で、往年のヒット作も鑑賞。

 

★テレビ・ラジオ

『おもしろ荘』、『フットンダ』、『笑うラストフレーズ』、『ドリーム東西ネタ合戦』、『水曜日のダウンタウン』、『ゴッドタン』、『あちこちオードリー』、『有吉の壁』、『シンパイ賞』、『テレビ千鳥』(地上波で)

キングオブコント』【2009,2011,2012,2013,2014】(paraviで)

『相席食堂』、『千原ジュニアの座王』、『これ余談なんですけど・・・』、『千鳥×かまいたち』(TVerで)

『チャンスの時間』、『しくじり学園お笑い研究部』(Abemaで)

『100分de名著』【旧約聖書,遠野物語,谷崎潤一郎】、『揺れるアメリカ』、『永田町・権力の興亡』、『安全神話』、『メルトダウン』、『沖縄と核』、『映像の世紀』【第一集】(NHKオンデマンドで)

マヂカルラブリーオールナイトニッポン』(radikoで)

M-1でマヂラブ優勝、おもしろ荘でダイヤモンド優勝など嬉しすぎるお笑い界の動き。2018年の霜降り明星優勝以降、本格的にお笑いブームが再来している感じがするので、今年もたくさん面白いお笑い番組をやってほしい。今年はななまがりの躍進に期待。

 

その他、youtubeでお笑いや音楽など・・・

来月からはその都度記録しておいて、後から一か月にどれだけ観たかわかるようにしたい。

M-1グランプリ2020 感想(後日談)

マヂカルラブリーが王者となってから10日ほど経った。

ずっとファンだった芸人が賞レースで優勝するという経験が初めてだが、改めてこんなに嬉しいものなんだなと思う。

今後、ネタ番組でたくさんマヂラブのネタが観られるのが楽しみで仕方ない。

野田の日記も再販されるそうなので、絶対に買いたい。

 

 

M-1直後、「あれは漫才じゃない」などの感想がネット上で散見され、「漫才論争」などといってネットニュースやワイドショーでも取り上げられた。

そういう見当違いな批判をする人たちは、「萬歳」の時代から、エンタツアチャコダイマルラケット、いとしこいし、やすしきよしなどの古典漫才を本当に観たことあるのだろうかと不思議になる。自分の好みでないものに、「定義」を持ち出して批判するというのがダサいなと思ってしまった。

とにかく「漫才論争」については、「ワイドナショー」での松本の「漫才の定義は基本的にないんですね。定義ないんですけど、定義をあえて設けることで、その定義を裏切ることが漫才なんですよ。だからあえて定義を作るんですが、これは破るための定義なんですよ」、「サンデージャポン」での大田の「漫才っていうのは、こういうものっていうことを規定されることを漫才自体が拒んでいるわけだから。あんまり意味がないよね。歌舞伎や能や狂言みたいに、型があるわけじゃないからね」という言葉で決着がついたと言えるだろう。

昔と同じことをしていているだけではその芸能は衰退していくし、破壊と創造の繰り返しのみが新しいものを作っていくと思う。少なくともM-1だけは「新しい漫才」が評価される場であってほしい。

 

さて、M-1といえば何といっても「アナザーストーリー」が素晴らしかった。昨年の内海と床屋のエピソードや、2017年の村田と芸人辞めた後輩のエピソードでも感動したが、今年の野田クリスタルの苦悩と葛藤が最も心に来た。観終わった後にはボロボロ涙が出てきた。まだ観ていない人は是非観てほしい。

tver.jp

 

まず、副題の『あきらめなかった「漫才」』。 そして、最終決戦進出決定後の、マヂラブ野田と見取り図盛山の「色んな漫才がある」「ちゃんと10種類の漫才が」という会話が、くだらない漫才論争への対抗メッセージとして出されている点が良い。一方で、おいでやすこがの漫才師の真似事でなくてピンネタ×ピンネタという闘い方にフィーチャーしている点も、漫才の多様性を考えさせられる。

 

そしてなんといっても野田クリスタルがあまりにも主人公すぎる。

公務員の家庭に生まれながら親の反対を押し切って15歳で芸人の道に進み、自分が面白いと思うことを信じて磨き続け、2017年で一度ドン底に落ちながらも腐らずに努力をし続けての優勝。

「我流大暴れ」というキャッチコピーにあるように、基本の芸風は貫かれているが、その「我流」をより面白く見せるための模索が、過去の漫才と比較してみるとよくわかる。そして、それが出来たのも「野田の才能に全ベット」した村上の信頼が基盤にあってこそだし、村上のツッコミの進化がマヂラブを受容させる一番のカギになったと思う。

芸人デビューから20年近い模索を考えると胸が詰まった。きっと野田は自分のことを面白いという自信をずっと持ち続けていた一方で、それが世間に受け入れられないことへの苦悩もあっただろう。二人の才能があればマニア向けに切り替えてファンを囲うこともできただろうし、M-1攻略のために大幅に芸風を変えることもできただろうが、我流を貫きつつ面白さを全員に認めさせて優勝を狙うという一番辛い道を選んだということだ。

アナザーストーリーの最後に流れたハンバートハンバートの「虎」が、その苦悩をよく表していると思う。「人の胸に届くような そんな歌がつくれたら」という歌詞が、あくまでウケること、認められることにこだわったマヂラブの姿勢と重なり合う。

そしてラストの母親との電話からの号泣。認めてほしかったのは客だけでなく、母や兄でもあったのだなと思うし、「比べられない存在でありたい」という言葉には芸人としてだけでなくて兄弟としてもあったのかなと考えると、ただただ泣いてしまった。

 

 

そして、最近話題の芸人の青春を扱ったコンテンツとして、地下から孤高に戦い続けた野田と対照的な存在としては、ニューヨークのyoutubeチャンネルでアップされた「ザ・エレクトリカルパレーズ」だろう。

 

ニューヨークの2期下の東京NSCに存在した「ザ・エレクトリカルパレーズ」という謎の集団にスポットライトを当てた2時間超のドキュメンタリー映画である。

オリジナルのTシャツやテーマソングを作ってワイワイ飲み会をしていたいわゆる「イタい」集団である。ただ、中卒芸人である侍スライスなどのインタビューを聴いていると、高校などで味わう「青春」の代替物として機能していたところもあるんだなとも感じた。

 

野田クリスタルもこの作品のファンになったそうで、M-1の決勝でニューヨークが呼ばれた時にエレパレポーズをしていた。

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15歳で芸人になったため、同期の中でも圧倒的に年下だった野田だからこそ、エレパレの青春感に魅かれるものがあったのだろう。

 

アナザーストーリーにエレパレ、芸人という道を選んだ若者たちの様々な人生を見せられて、来年から自分も仕事を頑張ろうと強く思った。

野田クリスタルのように、我流を貫きつつ人々から認められる存在になっていきたい。

M-1グランプリ2020 感想(後編)

勝戦

去年、テレビ初出演がM-1だったミルクボーイがリムジンに乗って登場するというOPからして夢のある演出。

最初の演出がクドいという意見もあるが、お笑い好きにとってはどのシーンがVTRに使われるのかが楽しみなのでかなり好きな時間ではある。

 

① インディアンス

そろそろ来るかなと思っていた、敗者復活のトップバッター。

実際に来て見ると滅茶苦茶アツいし、復活の勢いのままトップを盛り上げてくれるのでかなり良い。

個人的にはインディアンスのようなボケ連打タイプのネタがあまり好みではないが、昨年のネタ飛ばしや、しくじり学園でのきむの号泣などを観ていたので、二人が楽しくテンポよく漫才をしているだけで嬉しく思った。

ただ、敗者復活と決勝で同じネタをするというのは、ワガママかもしれないが視聴者としては残念。せっかくならたくさんのネタを見せてほしい。(昨年の和牛も同様)

 

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東京ホテイソン

初めて予選で観た時から大好きなコンビ。

悲願の決勝進出だが、まだ20代半ばというとんでもないエリート。毎年、ホテイソンは限界かと言われながらハードルを越えて新しい型を見せてくるのは見事。

ただ、今回についてはその型の進化の最終形態をいきなり見せてしまったことが敗因か?

たけるの備中神楽ツッコミを知っているからこそ、最後の「無」の時間ではゲラゲラ笑ってしまった。

来年以降も更なる進化を見せてほしいコンビ。マヂラブの「最下位になっても優勝できる」が一番刺さっただろうなぁと思う。

 

③ ニューヨーク

ニューヨークの売りである「毒」が全面に出たネタ。

昨年の歌ネタよりも、嶋佐のうさんくさいキャラクターと、屋敷の偏見交じりのツッコミが上手くハマっていた。今までのニューヨークで一番好きなネタかもしれない。「古悪い」とかのワードがハマって気持ち良かった。

ただ、準決勝からの調整が裏目に出たのと、掛け合いが少しぎこちなくなってしまったのが残念。

youtubeチャンネルの動画や、バラエティなどで苦悩しつつ頑張っている姿を観ていたので、松っちゃんからの評価に少し感動した。そして今回の敗退コメント優勝者は屋敷の無表情。

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④ 見取り図

 正直なところ、準決勝の出来的に三年連続で決勝に上がるほどかなぁと思ってしまった。毎回スタイルを変えていってはいるが、今回については普通のコント漫才に殴り方の大喜利やワードボケをツギハギで入れたように感じてしまった。

最終決戦の出来も過去の見取り図からの進化があったかというと微妙で、マヂカルラブリーを叩くためにネットで「正統派」と言われているのも含めて、今回の進出は損の方が大きかった気がする。盛山のキャラクターが大好きなだけに残念な結果だった。今後の決勝進出はなかなか厳しくなったように思う。

 

⑤ おいでやすこが

練ったツッコミが主流となる現代漫才に真っ向から対抗する、シンプルストレート大声ツッコミ。打ち上げで大吾がボケ芸人はみんなツッコまれたいと言っていたが、本当に爽快感が凄い。一方で二本目については、みんなが期待していた小田のツッコミがやや弱めに感じた。

まあ正直、ユニットが優勝はなぁ・・・という気持ちもあったので、松本人志から評価されての二位はベストな終わり方かもしれない。コロナ禍でネタをかけられないコンビが多い中、ピンで培ったパワーとテクニックがバッチリはまった形。R-1におけるコンビ芸人の活躍や、ルール変更によるおじさん芸人の淘汰へのカウンターとしてとても良いストーリーだった。

 

マヂカルラブリー

事前VTR→正座での登場→笑わせたい人がいるのツカミ。全てが最高。3年前の絶望と、それに負けずに努力を積み重ねた結果で、感動すら覚えた。

最終決戦の「吊り革」は、ボケとツッコミが絶え間なく続くという一つの完成形だった。これが漫才ではないという批判が来ているのは悲しいが、新しいものというのはいつの時代も賛否両論になるんだろうな。革新的なネタが優勝し、漫才の裾野をさらに広げたという点では一つの転換点。

ネットのしょうもない意見は最悪だが、野田の対応が大人だし、他の芸人も愛のあるコメントをしていて良い。「これは漫才か?」という議論を呼び起こしたことは、今後の漫才の発展にとって意義があると思う。

 

⑦ オズワルド

ネタの構成、演技ともに昨年より進化していた。ボケとツッコミが全て心地よくハマっているし、台本の完成度はダントツだと思う。三連単では優勝も予想していた。

実際、松本と巨人の点数さえ伸びていれば最終決戦に進んでいたし、マヂラブを刺すことも可能ではあったと思う。

松本と巨人に真逆の講評をされていたが、伊藤の急に大声張り上げるところがあざといと捉えられてしまったのかもしれない。 

 

⑧ アキナ

準決勝でも「これが上がる?」と思ってしまったが、案の定スベってしまった。富澤のコメントに尽きる。おじさんがやるネタではない。

変わり種が多いから、安定を取るためにアキナと見取り図を上げたのかなと思うが、勇気をもってコウテイ滝音を関西芸人では上げてほしかった。

 

⑨ 錦鯉

満を持しての決勝進出。おじさんとおじさんがふざけあっているという面白さ。

ただ、出番順が後ろすぎたのが残念。おいでやすこが、マヂラブという「パワーとテクニックを兼ね備えたバカ」が先に出てしまったせいで、「シンプルなバカ」である錦鯉が相対的に弱く見えてしまった。

ただ、決勝後の番組出演オファーが大量にあったそうなので、バラエティでどんどん売れることに期待したい。

 

ウエストランド

キャッチコピーの「小市民怒涛の叫び」は最高。近年の傷つけない笑いの風潮への真っ向からの批判。爽快感すらある。

「復讐だよ?」をはじめとするキラーフレーズが全て良かったが、いくらなんでも河本が噛み噛み過ぎたので残念。

ニューヨークもそうだが、準決勝の方がパフォーマンスが良かったかな。そもそも毒のある芸風は決勝のきらびやかなセットと合わないというのもあると思う。

 

 

昨年のミルクボーイ、かまいたち、ぺこぱという最終決戦に比べるとどうしても凄みは少なく感じるが、全く違った三種が見れた点はとても面白かった。見取り図が「正統派」と呼ばれてしまうカオス感。マヂカルラブリーの優勝ネタについては歴史に名を刻んだネタだと思う。年末に放送するアナザーストーリーも楽しみ。

ただ、普段お笑いをあまり観ない人たちの保守的な批判意見があまりにも多かったことと、上沼巨人の引退示唆など、番組が終わりに向かってしまうのではないかという心配がある。これだけ楽しめるコンテンツは他にないので、本当にずっと続いてほしい・・・。